皐月賞では、「最も速い馬が勝つ」と言われています。「速い」と聞きますと、自分はぶっちぎりのスピードをイメージします。ですが、ここでの「速い」は、そこまで単純ではないと思います。大前提としては、自身のペースやリズムを保ちながらしっかりと全体の流れに着いていけるかにあります。その上で、ラストスパートでいかに自身の持ち前のキレを発揮できるかがこのレースに問われる速さではないかと考えています。つまり、最も速い馬とは、優れたスピードだけではなく、冷静なレース運びができる賢さも兼ね備えた馬だと考えています。
速さの能力を引き出すためには、芝2000m未満のレースを経験することが重要になってきます。なぜなら「最も速い馬が勝つ」と言われているように、皐月賞では、ペースが速くなりやすいからです。事実、ここ10年で馬券に絡んだ全ての馬が芝2000m未満のレースを経験し、かつ3着以内に入る実績もありました。
そのように考えると、今回フリームファクシは危険馬になります。芝2000m未満のレース経験がない上、出走してきた4つのレースは全てスローペースでした。ペースが速くなる皐月賞では、忙しくなり、流れに着いていくことに精一杯になるだろうと考えています。
逆に、優勝有力候補となりうる馬は、ソールオリエンスです。新馬戦では芝1800mのレースで勝利していますし、前走の京成杯では0.4秒の着差をつけての快勝でした。
もう1頭、有力までにはいきませんが、ファントムシーフも注目です。ホープフルSでは、4着に敗れましたが、前走共同通信杯では、0.2秒の差をつけて勝利しました。共同通信杯は東京Dコースで行われるため、カーブがより緩やかな分、流れがつまりにくいレースになります。その中で、最後まで流れに乗り、キレ味も発揮できていますので、あとは内回りで巧みにレースを運ぶことができれば、勝ち切ることは可能だと考えています。
穴馬としては、タッチウッドとべラジオオペラを注目しています。タッチウッドは新馬戦で9頭立てでしたが、大外で逃げて1.0秒の大差をつけての圧勝をしています。前走の共同通信杯でも、スタートでつまずいて出遅れ、途中ハナにたちましたが、最後まで大きく崩れることなく、最後ファントムシーフに交わされましたが、2着と負けて強しの結果でした。今回は、他に逃げ馬がいるので、展開が鍵になると思います。べラジオオペラは、3連勝中で前走も重馬場の中で0.2秒の着差をつけて勝利しました。もう一つ評価すべきことは、2走前のセントポーリア賞でのレースの運び方です。始めは先頭にいましたが、途中他の馬にハナを譲ることがありました。ですが、自身のペースを乱さずリズム良く進み、ラストもキレを発揮して勝利したことから、賢さがあると考えています。3戦とも芝1800mで実績を積み重ねている分、今回も力を発揮できると思います。とはいえ、他にも有力馬は何頭かいますので、しっかりと見極めながら4頭を選んでいきたいです。
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