ライスシャワー
父:リアルシャダイ
母:ライラックポイント
母父:マルゼンスキー
1991年8月10日に新馬デビュー。舞台はなんと新潟芝1000mでした。結果がクビ差の1着入線。デビュー勝利を飾りました。新潟3歳S[新潟芝1200m](当時の馬齢は1つ上の数え方でした)で重賞デビューしますが、11着と大敗。鞍上の菅原騎手も長距離に適性があると感じていました。次の芙蓉S(当時は中山芝1600m)で勝利をしますが、スプリングSで4着、皐月賞で8着、NHK杯で8着と不調が続きました。それらのこともあり、日本ダービーでは16番人気でしたが、ミホノブルボンに粘り強くついていき、2着と波乱を呼びました。その後、セントライト記念2着、京都新聞杯2着と好走。菊花賞では、三冠がかかっていたミホノブルボンを最終直線で交わし、レコードタイムでGⅠ初制覇と共に、ミホノブルボンの三冠を阻止しました。しかし、ミホノブルボンの三冠ムードが高まっていたこともあり、ライスシャワーの勝利はあまり歓迎されたものではありませんでした。それでも、ライスシャワーは快進撃を続けました。有馬記念では、8着と振るいませんでしたが、翌年の目黒記念では、2着と好走し、日経賞で勝利を手にしました。そして、天皇賞(春)に向かい、三連覇を狙うメシロマックイーンと対決することになりました。
メジロパーマーが大逃げにでる中、メジロマックイーンは先団に控え、後ろについていくようにライスシャワーが追走。最終第4コーナーでは、メジロマックイーンが先頭に立つも、直線入口でライスシャワーがメジロマックイーンを交わし、そのまま抜け出して2馬身以上差をつけての1着入線。ここでもレコードタイムを出し、メジロマックイーンの三連覇を阻止しました。この時から、ライスシャワーは「関東の刺客」「レコードブレーカー」という異名をもつようになり、悪役の見方をされるようになりました。このことに当時、ライスシャワーに騎乗していた的場均騎手は不快感を抱いていました。
その後はスランプに陥り、勝ちきれないレースが続きました。遂には、天皇賞(春)の連覇に向けて調整を進めましたが、3歳時に骨折を起こした右前脚が再び故障、競走生命が危ぶまれました。当時は引退も考えられていましたが、長距離以外の実績が乏しかったこと、小柄な馬体であったなどから、引退を回避。回復も早かったこともあり、有馬記念で復帰戦を果たしました。その翌年、京都記念、日経賞でも勝てないまま、2年ぶりの天皇賞(春)に向けて、調整が進みました。そして、昨年のように怪我をすることなく無事に出走を果たすことができました。
レースでは、2周目の向正面で早めに前に出て仕掛け、第3コーナー手前で先頭に立ちました。最終直線では、インターライナーやアルゼンチンタンゴの追い込みを寄せ付けず、一時は後ろを引き離しましたが、ステージチャンプやハギノリアルキングの猛追があり、最後はステージチャンプと並んで入線。結果はハナ差でライスシャワーが押し切り、2年ぶりの勝利となりました。その後、疲れもあり、一旦は放牧に出される予定でしたが、宝塚記念で投票1位になったことや得意の京都で開催されることなどがあり、出走しました。しかし、第3コーナーで故障を発生。左前脚の開放脱臼や粉砕骨折もあり予後不良に、また診療所に運ぶこともできず、倒れたその場で安楽死処置が取られ、残念ながら淀の舞台で散りました。
ライスシャワーの死後、JRAはライスシャワーに特別賞を贈りました。また、各地でライスシャワーの記念碑がたてられ、その1つである京都競馬場内のライスシャワー記念碑では、多くの競馬ファンによって供養されています。
古くから長い歴史をもつ天皇賞。年に2回行われ、今週はGⅠレースの中で最も長い京都芝3200mで行われる天皇賞(春)があります。ステイヤー最強だけではなく、古馬の最高峰をも決めるレースです。天皇賞(春)を制し、伝統の盾を手にするのはどの馬か。
天皇賞(春)を勝利するには、これまでのGⅠ舞台での活躍が必須になってきます。現段階の出走登録でGⅠ馬は2頭います。菊花賞馬のドゥレッツァとダービー馬のタスティエーラです。ドゥレッツァは未勝利戦から4連勝した後、菊花賞で3馬身差で圧勝しました。間隔の調整のため、金鯱賞からの臨戦になりますが、休み明けでも2着と好走。金鯱賞で勝ったプログノーシスはGⅠ級の中距離馬であるので、その馬に食らいついて行ったことも評価はできます。残念ながら、ルメール騎手の負傷により乗り替わりになりますが、戸崎騎手は日本海Sでも鞍上しており、不安はありません。ここでも勝ち負けは期待できそうです。タスティエーラはクラシック三冠でオール連対達成。しかし、有馬記念や大阪杯では古馬相手に苦戦中です。ここでも復調まで時間がかかりそうですが、日本ダービー→菊花賞直行ローテで菊花賞でも2着と好走できているならば、かなり地力はあると思います。
2頭以外で注目するのは、テーオーロイヤルです。ダイヤモンドS、阪神大賞典と連勝をしており、天皇賞(春)の制覇に向けて、準備は着実と進んでいます。特に、阪神大賞典では5馬身差をつけての圧勝でしたが、実は前走0.6秒以上差をつけて勝利した馬は馬券に入っていません。前走0.6秒以上差をつけて出走してきた馬にゴールドシップがいます。GⅠで活躍している馬でさえも、なかなか勝ちきれないことがあるようです。ただし、ゴールドシップと違うところは、テーオーロイヤルは過去の天皇賞(春)で3着に入っているところです。その過去の経験が活き、菱田騎手とともにGⅠ初制覇なるか注目です。